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【バックルの辞典】オメガ、サルカンその2
今回は、オメガとサルカンについてもう少し詳しくお話ししたいと思います。

オメガは前回お伝えしたように、ベルトの帯とバックルを接合する部材です

オメガとサルカン_ブログ用
接合の方法には、オメガをバックルにカシメる方法と、カシメずに引っかける形にしてバックルを交換できるようにする方法があります。後者はコーディネートに合わせてバックルを変えたい場合などに使われます。カシメるとは、ここではオメガのベロを曲げて、バックルと接合することをいいます。

オメガ(ワニ)
さて、単体のオメガとベルトを結合する場合、殆どが「ワニ口」というギザギザのついた蓋で帯を押さえます。ここで大事なことはそのオメガ、ギザギザの歯の高さは調整できないので、ベルトの帯の厚さがその高さに合うかどうかをチェックしなくてはいけないということです。帯の厚さがオメガの歯の高さに対して薄すぎると抜けてしまいますし、厚過ぎると蓋が締まらないからです。

サルカンはベルトを見栄え良く整える部材

サルカン_ブログ用

サルカンは帯の余った部分を見栄え良く整えるものです。
素材は金属か、帯と同じ革、あるいは布にすることが一般的で、バックルのデザインや雰囲気に合わせて選択します。
金属のサルカンには、真鍮の線材を曲げ加工したもの、ゴム型や金型に亜鉛合金を流し込む鋳造、、砂型に真鍮を流し込む真鍮鋳物などがあります。最近弊社では、線材の種類の多さ、扱いやすさ、コスト等が考慮され、真鍮の線材加工品が多くなっています。

バックルや部材の製造方法については、別の機会に詳しくご紹介します。

サルカンとオメガの名前の由来

サルカンは猿の環?

釣りの道具に同じ読みをする「サルカン」があります。これは、猿回しの猿が引綱を回して切らないように、綱の捻り(より)を戻すための輪をつけたことから「猿環」という字を当てるようになったとのお話があちこちにあります。
ベルトの世界では帯の捻りを戻すとか、余りが「去る」環から「去る環」となったとのお話もあります。

謎に包まれているオメガの名前の由来

オメガに関しては、ネット、文献でもなかなか出てこないので、半世紀以上この製品を製造しているあるメーカーさんに伺ってみましたが、昔からそのように呼んでいて、由来は分からないとおっしゃっていました。
分かる方がいらっしゃいましたら、是非情報提供をお願い致します
(HPのお問い合わせからお願い致します)。

バックル辞典では、ファッションのコーディネートにかかせないベルト、バックルについてご紹介しています
次回は、帆型バックルの次に頻繁に使われる中一バックルの解説をさせて頂きたいと思います。
弊社へのお問い合わせ、バックルの紹介、ブログへは、
こちらから

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【バックルの辞典】オメガ、サルカンその1

オメガって何?サルカンって?

オメガとサルカン(説明付β)500px

〈オメガの役割〉

バックルはベルトの帯と結合する必要があります。その方法は2種類あり、
ひとつ目は、バックルにベルトの端を絡ませて糸で縫い付ける方法(ステッチ)です。
ふたつ目がオメガを使う方法です。
例えば上の図は、バックル、サルカン、オメガが一帯になったものの図ですが、オメガは中が空洞になっており、ここにベルトの接続面を差し込みネジで留めます。図中の丸のしるしがネジ穴です。
このタイプには、ワニ口というギザギザの歯のついたふたで留めるものもあります。
さらに、オメガはバックルに直接オメガをカシメて結合させる単体のタイプもあります。これがポピュラーなタイプなのですが、これはまたあとでご紹介します。

〈サルカンの役割〉

帆型バックルは、ベルトを腰にまわして前にきた先端をバックルの中に通してピンで留めますが、大抵の場合、ベルトの先端の余った部分が留めた位置から垂れ下がってしまいます。 
サルカンは、ベルトの先端をサルカンに通すことで、バックル後ろの垂れ下がりを解決する部位(パーツ)です。さらに長く余った部分はパンツやスカートのループを使って調整することになります。

では次回は、オメガ、サルカンを写真等でご紹介させていただきます。

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【バックル事典】帆型バックル(その3)

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帆型の名前の由来を明かしつつ、その表情豊かなおしゃれさんの可能性を探っていきます

そもそも「帆型」とは何の意味?

これまで、ベルトの歴史とともに、バックルの代表的な存在である帆型バックルを紹介してきましたが、そもそも「帆型」とは何かをお話ししていませんでした。

帆型とは「ほがた」と読みます。字の通り「船の帆」です。初期のピンがついた円形のバックルの形状が、幾重にも帆を広げた帆船の帆の形に似ていたことから、そのように呼ばれ始めたというのが通説です。ピンがついているので「ピン付きバックル」とも呼ばれています。

今では形が四角でも三角でも(これは実際めったにありませんが)、ピンが付いているものの多くを帆型と言っています。
男性用、女性用共に一番見かける機会が多いのが帆型ですが、それだけ使いやすいということでしょう。

また、ピンも色々な種類があり、ピンが変わることでその表情が変わってきて、おしゃれの幅を広げてくれます。 
中一のバックルでもピンを使うことがよくあるので、ピンの種類については、中一のバックルの話の中で説明していきたいと思います。

ファッションの歴史とともに様々なバックルが誕生

ファッションに欠かせないバックルですが、帆型バックルの他にも様々な種類があります。
大きく分けると次の4種類です。

これまで紹介してきた帆型バックル(ピン付きバックル)、
ベルトバックルの歴史の中で、靴の飾りとして登場した中一バックル(通しバックル)、
バックルの頭のフックあるいはギボシ金具(球状の頭と胴が付いた金属の留め具)をベルトの穴に引っ掛けるトップバックル(これはベルトの歴史の中で、いの一番に使われた仕組みです)、
引っかけバックル(これはベルトの両端にバックルを付け、バックル同士を引っかけるものです)などが代表的です。
他はローラーバックル、中一の変形である中二バックルなどがあります。

代表的なバックルの簡単な特徴

帆型バックル(ピン付バックル)
  • ピンをベルトの穴に差し込んで固定するもの
中一バックル(通しバックル)
  • バックルの中に心棒があり、右側がサルカン代わりになる。
トップバックル
  • バックルの頭のフックあるいはギボシ金具をベルトの穴に引っ掛けるもの
ひっかけバックル
  • ベルトの両端にバックルを付け、バックル同士をひっかけるもの

次回は帆型には切っても切れない存在のサルカンと
オメガのお話をしていきます。


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帆型バックル並びにベルトの由来(その2)


日本最古のベルトには美しい青石(瑠璃)の装飾とともに帆型バックルの原型が認められます。そして時代は中世以降へ。バックルに求められるファッション性は普遍です。

日本におけるベルトの歴史

ヨーロッパの古代ローマ時代が終わり中世に入って200年ほどたったころ、西暦710~784年に日本でもベルトの歴史が始まっていました。奈良時代のものと思われる日本最古のベルトが今も残されています。
正倉院宝物「玉紺帯 残欠(こんぎょくのおび)」

1200年以上も前のものとは思えないほど美しいベルトで、瑠璃(ラピスラズリ、「瑠璃色の地球」という歌で一躍有名になりましたね)で飾られ、革は黒漆塗です。そして、先端には金具で固定されたバックル状のものが着いています。これは現在の帆型バックルと同じ形と認められます。漆塗りには装飾性を高めるとともに殺菌作用もあると言われ保存性に優れています。
余談ですが弊社でも漆塗りを施した金属バックルを手掛けています。これについては改めてご紹介します。

中世以降のバックルの進化

さて、世界に目を戻します。時代が進んで18世紀になると、フランスではバックルがブリーチズ(当時の貴族が着用した膝丈のズボン)の飾りとして使われるようになりました。この時に用いられたのは現在の「中一バックル」(「なかいち」と読みます、「通しバックル」ともいいます)の原型と思われます。

その後、フランスやアメリカでは大き目のバックルが靴の飾りとして使われるようになりました。
素材は、銀やラインストーンが用いられていたようです。装飾性を高めたのでしょう。20世紀になると、派手な靴飾りは女性用に普及していくようになりました。

さて、生活に使用される金属は、青銅器時代に用いられた銅や亜鉛、スズ、鉛から、安くて強い鉄へと変化していきました。
一方、ファッションや工芸など装飾品としての金属は、加工しやすく、温かみのある真鍮(銅と亜鉛の合金)や亜鉛合金、スズ等、青銅器時代からのものが主流です。バックルの素材については改めてご紹介しますが、バックルには昔も今も変わらずにファッション性が求められていることがわかり、ホッとします。
帆型(金)230813_ブログ用
〈写真〉帆型バックル、亜鉛合金

次回は、帆型バックルを一旦まとめてみます。

(参考文献)
「アクセサリーの歴史事典下(脚部・腕と手・携帯品)」キャサリン・モリス・レスター、ベス・ヴィオラ・オーク (著)、古賀敬子 (翻訳)、八坂書房
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帆型バックルとベルトの由来(その1)

ベルトの起源は衣類の誕生とともにあり、青銅器時代になるとバックルの原型が誕生していました。 バックルは先史時代からファッションに欠かすことのできないものだったのです。

ベルトの起源は衣類の誕生とともに
早速、前回の投稿で紹介した帆型バックルから見ていきたいとおもうのですが、
その前にベルトの話から入っていったほうが分かりやすいでしょう。
歴史の教科書で見た洞窟画を思い浮かべて頂きたいのですが、人類は毛皮などの衣類を身にまとうようになってから、ひも状のものでそれを体に固定させていた。
身体を守るのために衣類を固定させる役割と同時に装飾の意味もあったようです。
ベルトの起源ですね。

バックルの原型は青銅器時代に誕生
そのひも状の帯(ベルト)が大きく変わるのが、古代紀元前3300年から始まる
青銅器時代です。
この時代になると自由に色々な形の金属を作ることができるようになり、
その技術がベルトにも生かされました。

最初は少し幅の広い帯の片側にフックのようなものをしばり付け、
反対の帯の端の真ん中に穴をあけ、差し込み使っていました。
その後、リング状の金具に針を絡ませ(今でいうとピン棒)、帯の先端に付け、
反対側に穴をあけて、ピンを差し込み固定していたそうです。
帆型(丸)230812_インスタ用
(写真:弊社ダイキャスト製バックル)
ここに今のトップバックル並びに帆型バックルの原型が誕生していたのです。

さらにその後、AC5世紀の古代ローマ時代には、クラスプ(留め金具)等の装飾品にエナメルなどを施すなどして、身に着けるもの全般のおしゃれ度がどんどん上がっていきました。
バックルも同様に装飾品としての役割が高まったことでしょう。

帆型並びにベルトの由来(その1)はここまでです。次回は日本最古のベルト
及びバックルの発展について、お話しします。

(参考文献)
「図説 服装の歴史[普及版]」 上巻
アドルフ・ローゼンベルク、エードゥアルト・ハイク、マックス・ティルケ、飯塚信雄 監修、高橋吉文 土合文夫 訳、国書刊行会
弊社で扱っているバックルの紹介、お問い合わせはこちら。
https://www.maruho-bk.com/index.html?utm_source=blog&utm_medium=jiten&utm_campaign=001

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