帆型バックル並びにベルトの由来(その2)
日本最古のベルトには美しい青石(瑠璃)の装飾とともに帆型バックルの原型が認められます。そして時代は中世以降へ。バックルに求められるファッション性は普遍です。
日本におけるベルトの歴史
ヨーロッパの古代ローマ時代が終わり中世に入って200年ほどたったころ、西暦710~784年に日本でもベルトの歴史が始まっていました。奈良時代のものと思われる日本最古のベルトが今も残されています。
1200年以上も前のものとは思えないほど美しいベルトで、瑠璃(ラピスラズリ、「瑠璃色の地球」という歌で一躍有名になりましたね)で飾られ、革は黒漆塗です。そして、先端には金具で固定されたバックル状のものが着いています。これは現在の帆型バックルと同じ形と認められます。漆塗りには装飾性を高めるとともに殺菌作用もあると言われ保存性に優れています。
余談ですが弊社でも漆塗りを施した金属バックルを手掛けています。これについては改めてご紹介します。
中世以降のバックルの進化
さて、世界に目を戻します。時代が進んで18世紀になると、フランスではバックルがブリーチズ(当時の貴族が着用した膝丈のズボン)の飾りとして使われるようになりました。この時に用いられたのは現在の「中一バックル」(「なかいち」と読みます、「通しバックル」ともいいます)の原型と思われます。
その後、フランスやアメリカでは大き目のバックルが靴の飾りとして使われるようになりました。
素材は、銀やラインストーンが用いられていたようです。装飾性を高めたのでしょう。20世紀になると、派手な靴飾りは女性用に普及していくようになりました。
さて、生活に使用される金属は、青銅器時代に用いられた銅や亜鉛、スズ、鉛から、安くて強い鉄へと変化していきました。
一方、ファッションや工芸など装飾品としての金属は、加工しやすく、温かみのある真鍮(銅と亜鉛の合金)や亜鉛合金、スズ等、青銅器時代からのものが主流です。バックルの素材については改めてご紹介しますが、バックルには昔も今も変わらずにファッション性が求められていることがわかり、ホッとします。
〈写真〉帆型バックル、亜鉛合金
次回は、帆型バックルを一旦まとめてみます。
(参考文献)
「アクセサリーの歴史事典下(脚部・腕と手・携帯品)」キャサリン・モリス・レスター、ベス・ヴィオラ・オーク (著)、古賀敬子 (翻訳)、八坂書房
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