シンプルながらファッション性と機能性に富んだ中一バックル
ここまでは、バックルの代表格である「帆型バックル」のお話をしてきました。帆型バックルについては過去記事をご覧ください。ここからは、帆型と同じように使われる頻度が非常に高い「中一バックル」の解説をしていきたいと思います。
名は体を表す、中一バックル
中一バックルの中一は「なかいち」と読みます。通しバックルとも言います。
バックルの中に1本軸が通っている形状の特徴から「中に1本」で「中一」。また、その中にベルトを通すので「通し」バックルとも呼んでいます。
見た目通りなので分かりやすいのではないかと思います。
細いベルトには横長のバックルでスタイリッシュに
婦人ベルトのバックルのサイズは、ほぼ10mmからになっています。
時計バンド用、靴尾錠用としてはそれ以下のサイズはあるかもしれませんが、
婦人ベルトバックルとそれらのものの違いは、その存在性です。
婦人ベルトバックルは帯が細いと、バックルも小さくなってしまいがちですが、その分
横長にしてその存在をアピールする傾向があります。
それはそのことにより非常にスタイリッシュな印象を持たせることもできます。
ウエストのベルトですから横長になっても、それほど邪魔にはなりません。
その点では、時計バンド、靴尾錠と少し事情が違います。
太いベルトには縦長のバックルでバランスを整える
一方、太いベルトの場合は、ファッションショーに使われるものなども含めると縦幅100mm以上のものを作ることがあります。これは縦の長さで十分に存在感がありますので、横幅は抑えることでバランスを整えることができます。
シンプルな構造の中に機能が盛り込まれた中一バックル
縦長、横長いずれにしても左右対称が多い中一バックルですが、左右対称ではない変形のバックルもあります。それもまた個性的で興味を引きます。左右対称だけでは面白みがない、向かって右のサルカン代わりになる方のラインに工夫をして変化を付け、芸術性を高めることもできます。
中一バックルの構造はとてもシンプルですがとても機能的です。
まず帯の留め方ですが、ほとんど場合は、真ん中の軸に帯の一方をステッチがけして留め(図の①)、帯の反対側をバックルの下から差し入れて軸の上を通し(図の②)、バックルの下にくぐらせて固定します(図の③)。形に依ってこれだけで帯とバックルの摩擦で帯が留まり場合もありますが、多くの場合はピンを付けます。
もう一つのバックルの帯への留め方は、軸棒にオメガをかませ、帆型の様に使うという事もできます。バックルを交換するということも帆型の場合と同じ様にできます。
先ほども話しましたが、バックルの右半分がサルカンの役割をするので、新たにサルカンを用意する必要がありません。 非常に機能的と言えるでしょう。
なお、オメガやサルカンについては、過去の記事でご紹介していますので、合わせてご覧ください。
さて、前述の中一バックルではピンを使って帯を止めることが多いのですが、これも帆型同様、いやそれ以上にピンの種類がありますので、次回はピンの解説をしていきたいと思います。
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